番長現る

もう大学も4年目になってしまった。
なのに卒業するのに単位があと50近く足りない。
4年次には単位なんか数える程しかとらないのが一般的なんだそうだが、俺はどうやら道を踏み外したらしい。
50って…今までそんなに単位取ったことないよ…
グラウンド脇を走る真っ黒いリモの中で、僕は先の見えないこの先一年に不安をおぼえていた。
「先輩はあと単位どれくらいあるんすか?」僕は隣に座る、すっかりゴツくなってしまったキヨさんに聞いた。
「俺はもうほとんどない。所属するチームも決まってるし、あとはひたすら練習に打ち込むだけや」
さすがキヨさんや。就職先も決まってるなんて、まじスゲー!
僕の心はキヨさんへの憧れで一杯だった。
漆黒のリモはグラウンド脇を走り続ける。