『のない社会』を読む

何故かおっさんになった今、こんな本を読んでしまいました。
読みはじめてすぐに後悔したのですが、
内容が軽いのでついでに全部読んでしまいました。


著者の中島義道氏は哲学者で、
現在はどうか知りませんが電気通信大学の教授だそうです。
公共の案内放送とか標語の看板が大嫌いらしい。


本の主な内容は、
「テメェら思ってる事があるんならはっきり言いやがれ」
です。
実社会で通用しないような書生じみたことを言ってるなぁ、
と思っていたら結びの方で
書生じみたことを言っているのは分かっているけど…
と急にシオらしくなってしまいました。


空気ばかり読んでないで、
思ってる事を口に出せという
この先生の主張は正しいと思いますが
世の中、そんな強く正直な人ばかりじゃなく
被害者面して、ずる賢く生きてる庶民が多い
という認識が欠けているように思えます。


それともう一点、状況功利主義というものを挙げて
自分の為になるから人助けをするという行為を全否定してらっしゃるが、
この先生は情けは人の為ならず、という言葉も否定するのだろうか。
人助けをして自分が良いことをした、
そう少しでも思ってしまったら(微塵も思わないなんてのは不可能だ)
それはもう自分の為にしたことになってしまうのだから
仕方のないことだと思うのですが。
得になるという目的をもって行動するのが駄目なのであって
結果としてそう思うのは良いってことでしょうか。
何にせよ、
「俺は良い事をしている」とか「俺は正しい事を言っている」と
善人面で大声張り上げるヤツくらい胡散臭いヤツはいないのですが。