VS 2歳児

昨晩、風呂でのこと。
父の膝で頭を洗われるのはもう御免だ、娘は言った。
ならばお前さんは上方より水を掛けられても構わないのか、私は問うた。
それはやめて欲しいと娘。
では、父の膝の上しかないではないかと私。
だからそれは御免こうむると娘。
それではやはり上方より。
いや、それも嫌だ。
それでは。
いやだ。
それ。
や。
…では、どうしたいのだ。
もう放っておいてくれと娘。
何を言うか、もう既にお前の頭は泡にまみれている、今更後戻りはできない。
そんなことを言われても嫌なものは嫌なのだ。

ええい!(上方よりシャワーを浴びせる)
びえぇぇ!(風呂場に響き渡る泣き声)
何故だ?何故嫌なのか?理由を言って欲しい。
そしてどういう方法なら納得して頭を洗わせてくれるのか
対案を示して欲しい、というような事を言ってみるも最早手遅れ。
こちらへの敵意が娘の感情を支配し、
暴力に訴えてくるようになってしまった。
ちっ、やりすぎたか。
取り敢えず泣き止ませ、
暴力はいけない、暴力は、と説教する。
もう叩いちゃダメよ、もう叩かない?
叩かない。
分かりましたか?
分かった。
じゃあ約束。といって指切りをする。
その後、ようやく膝に乗せて頭を洗い終え風呂から出たが
風呂に入れるのに一時間近くかかってしまったようだ。


と、ふと娘に理由なき反抗をされた時にいつもと違う感情で娘に接していたことに気が付く。
これまでは娘といえど所詮、獣に毛が生えた程度の存在しつけてやればいいのさ、
なんて思っていた。
が、さっきはどうだ。
なんか反抗されてカチンときて、
何なんだ一体この小娘は!え?俺に口応えだと?
という同じ地平に立った感じの対応をしてしまった。
相手はたかだか二年しか生きていないのに?
この俺が?
なんだか昔、弟と喧嘩をした時のような懐かしいイライラ感があった。
齢三十、二歳児と正面から喧嘩する晩秋の一日。